愛知県の海に散骨してもいいの?罪になる?

 

母は「私が死んだら、生まれ故郷の海岸に散骨してほしい。全部が無理なら分骨でも。」と伝えてきました。私は、父のお墓に一緒に入るものだと思っていたので、正直、ビックリしました。
「そうなんだね。どうして、散骨がいいの?」と母の気持ちを聞いていくと、父のお墓には姑さんも入っており、一緒にそのお墓に入るのは嫌だったそうです。

と、いう事情から、「散骨はできますか?」というご相談をいただきました。

現代では核家族化が進み、いわゆる「嫁姑問題」というのは聞かなくなりつつありますが、こちらの相談者の母様世代というと、女性が嫁いで当たり前という時代だったでしょう。姑さんに意地悪されたという話もよく聞くものです。誰にだって「旦那方のお墓には入りたくない」という気持ちはありますよね。今でもこのような気持ちも伝えやすくなってきましたし、叶えられる選択肢もでてきました。

散骨を考えらる時によくご相談をいただくのが、下記の3つです。この章では、墓じまいからその後の遺骨の供養について、様々なご相談を受けている、終活カウンセラーの私(ご縁道/淺野)が散骨について、1つずつ解説していきますね。

  1. 散骨は法律的に問題ないのか。
  2. 散骨の業者はどのように探し、決めるか。
  3. 散骨の費用はどれぐらいかかるか。

①散骨は法律的に問題ないのか。

結論からお伝えすると、“節度をもって行う”のであれば、散骨を行うことができます。

非常に曖昧ですね。もう少し具体的に見ていきましょう。

墓埋法に「散骨」を禁止する規定はなく、一部地域の条例を除いて法規制の対象外とされています。(現在、愛知県では条例が定められていません)散骨は、関係省庁の非公式見解で“海への散骨は節度ある範囲であれば違法とはいえない”という解釈をもとに行なわれています。「葬送のための祭祀」として節度をもって行われる限り遺骨遺棄罪(刑法190条)に違反しないとしています。※遺骨は死体と同じ扱いとなり、遺骨をそのままの状態で散骨すると「死体遺棄罪」となります。

死体損壊等罪(刑法190条)
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。

葬儀や納骨は、民法「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」などで定められています。
墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)

では、節度ある範囲”とは、具体的にどのような点を気をつければいいのでしょうか。一般社団法人日本海洋散骨協会が海洋散骨に関してのガイドラインを定めていますので、こちらを参考にしてみましょう。

  1. 粉骨をする。
    遺骨を遺骨と分からない程度(1mm~2mm程度)に粉末化します。
    遺骨の状態のまま散骨をした場合、散骨された遺骨を見た一般市民にとって、遺骨を廃棄しているかの見分けが付かず、宗教的感情を害する可能性があります。
    →事件なのか、供養なのか、わかりませんよね。万一、遺骨を発見した側としては、良い気持ちがしません。
  2. 目に触れる場所を避ける。
    一般市民の目に触れる場所で散骨を行うことを避けるとともに、遺骨が風に吹かれて一般市民にかかるなどしてトラブルが発生することを防止するため、散骨に立ち会う者以外がいない場所で行う必要があります。
    →釣りや海水浴を楽しんでいるところで、遺骨を撒いたら不快な思いをさせてしまいます。
  3. 水源を避ける。
    河川や湖沼は、水源になっている可能性があります。水源に散骨を行った場合、その水を飲む方々の心情を害するおそれがあるため、水源での散骨は禁止する必要があります。
    →水を飲む側の立場にたったら、当たり前のことですね。
  4. 自然への配慮。
    自然に還らないものを撒いた場合、海洋汚染につながります。また、海岸に流れ着いた場合、トラブルになる可能性があります。献花するにあたっては、花などのラッピングは外した上で、自然に還るもののみを海に撒く必要があります。また、大量の献花、献酒は、海洋汚染の原因になる可能性があるので、周辺の状況へ配慮しながら行う必要があります。
    →ラッピング等は、ゴミになります。自然に還るための祭祀で自然を汚してはいけません
  5. 散骨時の服装に注意する。
    桟橋やマリーナは公共の場であり、レジャー目的で利用している人が多くいます。桟橋やマリーナによっては喪服着用の辞退、お骨や遺影、献花、献酒については袋に入れて持ち運ぶなどして、他の利用者の心情を害することがないように配慮する必要があります。
    →(2)と同じく、周囲への配慮が必要です。また漁場だと漁師さんにも迷惑がかかります。

散骨の節度ある範囲とは

というように、節度ある範囲は、周囲の人の立場に立って考えてみるとよく分かります。今後、散骨の需要は増えてきます。節度が保たれないと厳しい法が制定される可能性も十分にあります。そうすると「自然に還りたい」という最期の希望も叶えにくくなってしまうので、節度を持って気持ちのよい散骨を行っていきたいですね。

散骨の条件を満たした場所は、港湾、海水浴可能地域、漁場は不可ですし、沖も大型船通行海域や陸の見えないところでとなると、素人には可否の判断が難しいので、専門の業者に依頼するのが一般的です。専門の業者に任せ、安心して気持ちを落ち着かせた上で、散骨を行うとよいですね。

②散骨の業者はどのように探し、決めるか。

次に、どうやって散骨業者を探すとよいかについて、お伝えします。散骨業者を探すには、下記の3つが考えられます。

  1. 葬儀の際、葬儀屋さんに尋ねる
  2. 墓じまいの際、墓石屋さんに尋ねる
  3. ネットで探す

どこの海に散骨したいか

業者は対応地域(どこの海で散骨を行うか)がありますので、まずは、どこの海に散骨したいかを決めるとよいです。(故人の希望の海、生まれ故郷の海、暮らした場所の海など)近年では、ハワイ散骨も増えてきています。「新婚旅行がハワイだったから」「初めて行った海外旅行がハワイだったから」「きれいな海に撒いてほしい」など、故人の希望があります。現地の業者に任せた方が、現地の条例等に詳しいので安心です。また出張料など、余分な経費がかからずに済むでしょう。

散骨の相見積もりを取る

業者の選び方のポイントは、前章の「①散骨は法律的に問題ないのか。」でお伝えした、節度ある範囲”をしっかり守っているか。が決め手になります。「散骨」を禁止する規定がないので、模倣業者があるのが実態です。葬送業界は高値な料金設定が多く、いろんなオプションが付いて、何十万もかかってしまいます。粉骨だけで5万円、豪華なクルーザーで散骨したら30万など、色々な業者がありますので、墓じまい同様、一業者に絞らずに相見積もりを取ってみるとよいですね。

散骨証明書の発行

他の選び方のポイントは、散骨証明書の交付がされるか確認しましょう。年月が経つと故人を思い出し、手を合わせたくなるものです。その場合、散骨した場所を巡る周忌クルーズを希望する方もいます。その時に散骨した場所が不明になってしまうことを避けるため、散骨場所に関する情報(緯度経度など)を散骨証明書という形で残してくれる業者がよいですね。

散骨は何柱(何体)分あるか

あと、気を付けると良い点がどれだけ(量)散骨するか、考えておきましょう。全ての遺骨を散骨すると、遺骨が手元からなくなってしまいます。将来、遺族が現れ、墓や納骨堂、手元供養などを希望した場合にトラブルが発生する可能性があります。分骨(一部を散骨、一部を手元供養など)という方法もありますので、悩んでいる場合は散骨業者に相談してみるとよいです。1,100円~で、手元供養用の小瓶を用意してくれます。分骨でなく全部を散骨された場合、散骨した後、お参りする対象がないことなどが短所として挙げられます。

散骨,愛知県ご縁道

③散骨の費用はどれぐらいかかるか。

散骨は、業者に任せる代行散骨と、自身が船に同乗して行う散骨があります。

  • 遺骨を業者に任せて粉骨してもらう:3万前後
  • 業者に預けて代理で散骨してもらう(代行散骨):5万円前後
  • 他の家族と一緒に船に乗る(同乗チャーター):15万円前後
  • 貸し切り一家族のみ(貸切チャーター散骨):20万前後

業者によって幅がありますし、金額にはどのようなサービスが含まれているか確認しましょう。金額のポイントは、散骨には粉骨が必須ということです。散骨代金も含まれているのかどうか、確認しましょう。また粉骨の料金は、1柱(1体)分なのか、骨壺の大きさなのか、で料金が変わります。何柱(何体)分を散骨したいのか、明確にしてから、業者に問い合わせるとスムーズに話しが出来ると思います。

散骨のまとめ

  • 「散骨」を禁止する規定がないので、節度ある範囲をしっかり守りましょう。
  • 金額だけでなく、節度ある範囲を守った業者を選びましょう。
  • 何柱(何体)を散骨するかを明確にして、どのような散骨が希望か決めて、業者を選びましょう。

散骨は、ご自身でもできますが、節度を守って散骨するには、かなりの労力が必要になります。粉骨も故人の遺骨を砕くのは、精神的にも負担がかかります。このような作業は専門業者に任せて、清らかな気持ちで故人を供養するとよいと思います。

また、お墓のある場所と散骨する海が近い場合に限りますが、費用を抑えることや安心して任せられる業者は、弊社のように墓じまいと散骨がセット(両方できる)になっている業者がよいと思います。墓じまいは墓石屋さんで散骨は別の業者となると、必然的に両者に手数料が発生しますし、必要書類の準備も2倍になるので、手続きも複雑になります。墓じまいも散骨も初めて行われる方がほとんどです。行政の手続きも知らないことばかりで混乱します。墓じまいの手続きから散骨まで一貫して行える業者を見つけると手続きも楽で安心して任せることができると思います。

散骨のプランはこちらをご覧ください。

海に還る散骨